アリの行列

アリの行列は見ていて面白い。例えば農作業しているときにふと地面を見下ろしたらアリの行列を見つけ、ついつい作業を忘れて見入ってしまう。決してサボっているわけではない。

屋外で見ればそんな面白いアリの行列であるが、これが自分の家の中で発生すると面白いなんて言っていられなくなる。

直接害を被っているわけではない。別にアリに噛まれて痛い思いをするとか、そういう実害は考えてみれば一切ないのだけれども、かといって家の中をうろちょろされるのは気持ちのよいものではない。

一匹紛れ込んだ程度なら、ああアリが入ってきているなで済む話なのかもしれない。しかしこれが隊列をなして侵入してきているとなればそうはいかない。他にも来ていないかとしばらく目を凝らしていると、同じような経路を辿って別の個体がやってきている。行列とはいかないまでも、結構な量のアリが侵入してきている。

侵入箇所を特定しようとルートを辿ろうと思っても、これがなかなかうまくいかない。おそらく探索行動を取っているのだろう。ある程度同じルートを辿っていながら微妙に分岐していたりして、結局どこから入り込んでいるのかよくわからない。私自身は辿っていると思っているこのルートも、実は探索先へ向かっているだけなのかもしれない。

この侵入経路のトレースは、なかなか難儀なものである。トレースできるほどアリが大挙して押し寄せてきているわけではない。アリの数はまばらであり、しかもフラフラ動き回るので、時間がかかる割に侵入経路を特定するに至らない。

こういう場合は、アリの辿っているルートでできるだけ壁よりの場所に、アリの巣コロリを設置するしかない。アリには悪いが、部屋の中を這いずり回ってほしくないのだ。できれば侵入経路のすぐ近くに設置したいところであるが、部屋の隅っこにおいて様子を見る。

設置してしばらくすると、蟻の行列が完成していた。アリの巣コロリに向けて一直線に、しかも大群で行列をなして進行していた。やはりそれまでは探索行動を取っていたのだろう、私が辿ったルートは修正され、アリの巣コロリに向けて最適化された最短ルートが形成されていた。アリの数が劇的に増えたことにより侵入ルートも判明した。天井を経由して窓から侵入してきているらしい。

今年に入ってからアリの侵攻はこれで2度目である。これまではなかった気がするが、もしかしたら単に自分の部屋を片付けたおかげで目につくようになっただけなのかもしれない。だとすれば、探索行動とは言えそのまま放置していても良かったのかもしれない。しかし何匹ものアリの侵入を見て、それを捨て置けるほど私の心は広くなかった。

若干の後ろめたさを感じないでもないが、しょうがない。

しかしアリ巣コロリを置いてから、アリの辿るルートが最適化されるのが面白い。探索中は前のアリの辿ったルートを利用しつつもある程度フラフラ動き回っているのに対して、餌を見つけた途端無駄を省いて一直線のルートを構築し直す。アリの行動力は不思議で面白い。

ただ、そういうのを発揮するのは家の中ではやらないでいただきたいものである。

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